2008/06/02(月) 06:49:50 [国内時事]
輸入依存度の低減を
「若い人はコメ食べて」=消費拡大を優先−首相
「減反をしないで済むように、皆さん若いんだからたくさん食べてよ、おコメを」。福田康夫首相は1日午前、コメの生産調整(減反)政策の見直しに言及した町村信孝官房長官の発言に関し、国内消費の拡大が優先課題との認識を示した。首相官邸で記者団に答えた。また首相は「それ(消費拡大)をして、減反をしないで済めば(食料)自給率は自然と上がる。まずはそれをやりましょうよ。できることからやりたい」と語った。時事通信 6月1日付記事より参照のため引用/写真は「国内自給率の変化」農水省のページより参照のため引用
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輸入依存の実態が如実に反映
世界的な穀物の高騰の影響を受けてか、身近な小売店やスーパーでは、小麦粉や麺類が値上がりを続けているようだ。数か月前に比較すれば、いわゆる、パン類やパスタ、インスタントラーメン、カップ麺などが「ビックリするほど値上がりしている」(有志)とのこと。実際に、店舗に足を運んでみると、「なるほど」と実感する今日この頃である。この様子は、また、輸入に依存度が高い日本(自給率39パーセント)の食糧事情を如実に物語っており、すでに、今後に在るべき政策の「答え」を示している、と謂えるのではないか。
この自給率について、政治家諸賢はどのようにお考えなのだろうか。メディアの既報でご存知かと思うが、その「発想」を象徴するかの3つの発言が報じられたので、小稿で紹介させていただく。
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「減反」にまつわる3氏の談話
先ず、町村信孝氏(官房長官)の発言(5月31日に都内で講演)が話題になった。政府が続けて来た減反政策(米の生産調整)について、云く、『世界では食糧不足の国があるのに減反するのはもったいない。減反を含めて農業政策を根本から見直すことが必要だ』(「時事通信」5月31日付)と。その自給率について、さらに、『食料自給率を2006年度の39%から15年度に45%まで引き上げる政府目標に関し、長官は「それで十分なのか。さらに5割、6割という数字を目標にすることを考え始めている」と述べた』(同)と報じられた。
この発言を受けて、欧州外遊へ出発直前の福田首相は、『減反をしないで済むように、皆さん若いんだからたくさん食べてよ、おコメを』(表題)と。また、『それ(消費拡大)をして、減反をしないで済めば(食料)自給率は自然と上がる。まずはそれをやりましょうよ。できることからやりたい』(同)と述べた、と報じられた。
一方、上述の町村氏の発言(5月31日)に対して、加藤紘一氏(自由民主党元幹事長)が、『1日のフジテレビ番組で、町村信孝官房長官がコメの減反(生産調整)政策見直しに言及したことについて「全く逆の方向にいっている」と指摘した。加藤氏は「コメは余っている。大豆や小麦を作らないとだめだ」と強調、コメを増産すれば米価が急落するとの懸念を示した』(「Nikkei Net」6月1日付)とあった。みなさまはいかがお感じであろうか。
首相を含む3氏の談話の共通している事柄は「減反」にまつわる話であるということ。町村氏と福田首相の談話は、食料自給率の向上は減反政策の見直しに関わるものであり、福田首相は、米の需要が増大すれば減反をしないで済む。それゆえ、『皆さん若いんだからたくさん食べてよ、おコメを』(表題)との言葉を残されている。これに対して、加藤氏は、米は余っているし、その増産(減反見直し)は米価の下落に通ずるため、他の作物(大豆や小麦)を作るべきと述べておられる。「減反政策」にまで言及されるのは貴重なことであり、「減反」の多角的な視座からの見直しは、確かに、国内自給率の向上に何らかの寄与はするであろう。
しかし、「減反」にまつわる話、足りなければ作れとするかの話だけでは、やはりもの足りない。どなたも高い食料「輸入依存度」の低減については、直接言及されていないが、しかし、この点が最も重要なポイントであるはずだ。
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輸入依存度の低減を「自給率向上」のベースに
昨年(2007年8月)、政府は、2015年度までに食料自給率を「45パーセント」に引き上げる目標を掲げた際に、現状で、もしも、国外からの食糧輸入が止まった場合に、日本の食生活はこのように想定される、とメディアが示した図があった。
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この図について、当時の報道(「時事通信」8月21日付)では、『食料輸入が仮にストップした場合、朝昼晩の食卓に並んでいた身近なおかずも満足には確保できなくなる。小麦や大豆、乳製品、食肉は多くを輸入に頼っているためだ。牛乳は6日にコップ1杯、卵は7日に1個、食肉は9日に一切れしか口にできなくなるという』と記していた。概(おおむ)ねの予測に過ぎないが、絵から伝わる侘(わび)しさの中に、分かりやすいものを感じる。重要なことは、もしも、食料輸入がストップ「したら」と考えるよりは、「しても」対応が可能な政策スタンスではないか。
外国からの食料、食材の輸入がストップ「しても」、日本はそれにどう対応し、克服して行くのか。また、それに備えるべきなのか。それが在るべき基本スタンスと思う次第である。その政策環境が整えば、国内「自給率」は、必要な部位から「向上」せざるを得なくなるからだ。
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「リスク」から逆算した食料政策を
たとえば、現在の日本の中枢は、すでに「戦争経験の無い」世代で占められている。若造の筆者とて同じである。「戦争経験が無い」だけに、「戦争が無い」未来を予測しがちであり、「未来」を楽観的にとらえがちだ。だが、世界のどこかで今日もくすぶり続けている戦争、紛争の火種は、日本の誰もが望まずとも、その火の粉が、何時、降りかかって来ようとも不思議ではない状況がある。いわゆる「有事」であり、最たる「リスク」である。
その最たる「リスク」も視野に入れた食料政策。むしろ、その「リスク」から逆算した食料政策が必要であろう。たとえば、中国共産党によってシーレーンが封鎖された時は、食糧事情の上でどう対応すべきか。米国やカナダの本土が長距離弾道弾で攻撃を受けた時は、食糧輸入にどう影響し、どう対応すべきなのか、等々。現今では荒唐無稽に映るような事項であっても、アフリカや中東を近隣に抱え、陸続きの国境を持つ欧州各国では、多分に、それぞれの国々相応の「有事」をも想定に入れた食料政策を布いている。以って、日本よりもはるかに「自給率」は高いのである。このスタンスは、また、日本の自給率向上のヒントにできるのではないか。
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■ 主な関連記事:
・日本「食の防衛」一考
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【筆者記】
高い輸入依存度の上に胡坐(あくら)をかくような食糧政策では、ほぼ永久的に「自給率」を高めることは困難であろう。確たる危機意識のもとに、政治の軸足と重心をここで確かに日本に置き換え、「食」の視座からも日本国民の命を守る。次世代の国民の命を守る。そのための、自給率向上に向けた政策が進むことを願う。以上、概観ながら短稿にて。
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2007/05/18 00:00 設置 (PCカウント)
Author:博士の独り言
いかなる組織、団体とも無縁の日本人発行のメルマガ、およびブログです。初期のように、氏名とプロフィール、写真を掲載すべきと考えていますが、迫る身の危険回避の意味からも自重すべし、との筆者をよく知る友人らの制止により、現在は「博士の独り言」として活動しています。活動自体も全く無収入です。