2009/10/29(木) 01:15:48 [メディア報道の闇]

結局は、日本側への責任報道か

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【護衛艦衝突・炎上】海保、追い越し止めず 直前に貨物船へコース情報を提供
 海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国籍の貨物船「カリナ・スター」が関門海峡で衝突した事故で、海上保安庁は28日、カリナ・スターが前方の船を追い抜く際、関門海峡海上交通センターの管制官が「左側を追い抜いてください」と追い越しコースの情報提供を行っていたことを明らかにした。第7管区海上保安本部(北九州)は「情報提供が事故原因となった可能性がある」との認識を示した。産経新聞Web) 10月28日付記事より参照のため抜粋引用/写真は「貨物船は追い越し中 くらま衝突 韓国人船長が証言」と伝える読売新聞記事(切り抜き)10月28日夕刊(1面)より参照のため引用

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交信の不可解

 表題に報じられる「海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国籍の貨物船「カリナ・スター」が関門海峡で衝突した事故」について、先稿では、「両船がどのような航跡を示しての「衝突」か。また、「くらま」の破損が大きい理由は何か。さらに、当該の韓国船の写真報道が極めて乏しい理由は何か。さらに、なぜ、この時期の事故なのか、と考え併せる必要もあるのかもしれない」、と事故報道への違和感を報告した。その後の報道を追えば、この事故は、韓国の貨物船が、前方を航行していた船を追い越そうとして舵を左へ切った際に護衛艦と衝突した、との概要が見えて来た。

 その様子は下記の図の判りやすいが、道路に喩(たと)えれば、いわば、追い越しを図った際に対向車線に入り、そこへ進んで来た対向車に衝突した。そう説明できる事故状況であった。このように解釈し得るものであった。

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読売新聞記事(切り抜き)10月28日夕刊(1面)より
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 ところが、この韓国船がこのように左へ舵を切った理由は、「左側から追い越せ」、との指示を「関門海峡の管制部署」から受けたために、「左側に針路を変更した後、反対側から来たくらまと衝突した」、と「「カリナスター」の所有会社「南星海難」は二十八日、ソウル市内の本社で本紙(東京新聞)などの取材に応じ、韓国人船長からの報告を明らかにした」、と報じる紙面があった。

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東京新聞記事(切り抜き)10月28日夕刊(1面)より
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 そして、それを補強するかの記事が、表題に参照する産経紙面である。云く、「海保(海上保安庁)は28日、事故直前の管制官と関係船舶との無線交信の内容を紹介した」と。続けて、「交信によると、事故直前、センターが船に「後ろから接近している船がある」と連絡。船から「左側を追い越して」と回答があった。センターはカリナ・スターに船の回答を伝え、「前方から護衛艦が接近している」とも連絡したところ、カリナ・スターは「了解」と応答した」とある。この記事が事実とすれば、針路を左へとった韓国船に問うべき衝突事故の過失が、一転して、その針路を指示した、とする海上保安庁の管制部署に問われることになるが。率直な感慨を申し述べれば、これらの報道に対する違和感は拭い切れない。

 常識からふと考えても、狭い同海峡の「交通状況」については、管制部署(海上保安庁)が基本的に熟知していたはずである。その管制部署が、なぜ、上記のように左へ切るように指示したのか、その事由を掘り下げる必要があるのではないか。たとえば、その「交信」が事実とすれば、何語で行われたのか。また当該の指示を発した人物はどのような職責にある者か。熟練した管制官なのか、どうか。たとえば、通訳的な補助職にある者ではなかったのか、否か。紙面(Web) には、「カリナ・スターを運航する南星海運(ソウル市)によると、船長も「右側から追い越そうとしたが、左側から追い越すよう指示され、従ったところ(護衛艦と)正面から衝突した」と話しているという」とあるが、その中身の検証と報道もまた重要かと思う。

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産経新聞Web) 10月28日付記事
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 これに関して、東京新聞の紙面では、「関係者によると、向かって来たコンテナ船を避けようとくらまが右に舵を切れば座礁する危険があり、逆に左に切ればさらに激しく衝突するおそれがあった。衝突を回避するには、かじをそのままにして後進いっぱいをかけるのが常識とされる。北沢防衛相は「後進いっぱいをかけた」と明らかにした」と。また、「鳩山由紀夫首相は二十八日午前、事故について「国民に迷惑をかけたと思う。責任(の所在)を明らかにしなければならない」と記者団に述べた」、と記事を締め括っている。

 同海峡では事故が多発しており、なぜ、海上自衛隊の艦船がこの海峡を通過しようとしたのか、との責任を問う報道は少なくない。事故対策は不可欠であろう。だが、事故それ自体については、あくまで、検証はケースバイケースであるべきで、且つ、一辺倒ではなく掘り下げたものでなくてはならない。
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「積載塗料に引火か」

 「積載塗料に引火か」、と報じたのは朝日新聞(同夕刊)だが、衝突後のくらまの延々とした火災の原因は艦首部分に大量のペンキが搭載されていた様子を報じ、こう記している。云く、「「くらま」は25日に神奈川県の相模湾で実施された観艦式に参加。外遊中だった首相の臨時代理として訓示した管直人副総理ら要人が乗艦して部隊を視察した「観閲艦」だった」、と同艦について紹介。続いて、「観閲艦になった場合や指揮官の交代式の前には、艦全体が塗り直されることが多く、大量のペンキなどを積んでいた可能性があるという」、と記している。確かに、大量のペンキや塗装後のはけなどを洗うシンナーを積んでいたとすれば、火災の原因がこれで説明できよう。

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東京新聞記事(切り抜き)10月28日夕刊(1面)より
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 しかし、艦の塗装は、少なくとも、観艦式に参加する前に済んでいるはずで、帰路にあったくらまが、どの程度のペンキやシンナーを所蔵していたのか。それでも「大量」であったのか。こちらも掘り下げた情報が不可欠ではないか。また、朝日紙面はこららへの「引火」の可能性について、「艦首部分にはいかりを操作する機器の配線があり、ある海自幹部は「衝突の際、配線から出火した可能性があると推測している」とある。いわば、出火原因をくらま内部に推定する論旨に映るが、しかし、この火災と艦首の著しい破損との因果関係と、そもそもの破損が何によって生じたのか。重々検証する必要があるだろう。
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ちぐはぐな報道

 報道写真を拝見する限りでの印象に過ぎないが、くらまに衝突して来た韓国貨物船の損傷は、くらまに比較すれば軽微に映る。衝突のためか、損傷部分のコンテナが消失している様子も観ることができる。このコンテナの中身が何であったのか。「事故の際、何を積んでいたかはわからないという」(FNN)にあった船長談話が印象的だ。 

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FNNニュースWeb) 10月28日付記事
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 衝突事故の初期報道で、韓国貨物船も火災を起こしている、としながらも、くらまの写真のみで、韓国貨物船の状況を写真報道しなかったメディアに違和感を禁じ得ない。且つ、以上に問うた必要な情報に関する詳細もなく、首相の「おわび」にも映る談話を配し、後発で海上保安庁の管制部署の「指示」が報道の中に登場したことに、ちぐはくな論旨を感じてならない。何せ、観艦式で、管直人副総理らが乗艦視察した「観閲艦」とあれば、重要な艦船に違いない。とすれば、管制部署の「指示」を事故原因とするかに展開し、そこで「報道」を収束させるべきではない。
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■ 主な関連記事:

報道「船舶衝突」考 2009/10/28 
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【筆者記】

 率直な感慨を申し述べて恐縮で、また、言葉は悪いが、写真等を手がかりに事故を冷静に観ても、報道の論旨には、結局は日本側に責任であり、韓国に謝罪すべき、との「政治的配慮」「背景」がそぞろに見えて来る点が残念である。どのように間違っても、事の真相の究明は、厳正に「真」「偽」、「正」「誤」の検証を踏んで行うべきであり、間違っても、そこに政治が介入し、曖昧に帰すべきではないく、まして、一政党の親韓外交の具にするようなことがあってはならない。以上、記事を参照し、雑感ながら小稿を報告する。
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